TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(2016年10月9日「1964年のおもてなし」)
(2016年10月23日「文字を運ぶ電線」)→

2016年10月16日「休園日の動物園」

私たち九州や西日本に住む人から見ると首都・東京のターミナル駅は東京駅ですが、東北・北海道の人たちにとっては上野駅です。
東京駅の開業は大正3年ですが、煉瓦造りの上野駅はそれよりずっと前、明治18年のきょう10月16日に開業。
以来、ターミナル駅の草分けとして君臨してきました。

昭和30年代、東北方面から上京する人々は、上野駅に着くと上野公園に行って西郷どんの銅像や動物園を見て帰るのが、帰ってからの自慢話でした。
まだ本格的な動物園がなかった東北の人たちにとって、上野動物園にいる象やキリンやライオンを見ることは憧れだったのです。

ところで、動物園には休園日というものがあります。
東北から修学旅行の列車が次々に上野駅に到着しますが、せっかく上京しても上野動物園が休園日で動物たちに会えないことが分かると、子どもたちはがっかり。
これを気の毒に思ったのが、上野駅の駅長です。
動物園に乗り込んで、かけあったのでした。
そのときの言い分はこうです。
「動物園が休みといったって、動物たちが休むわけではなく餌を食べているので、世話をする人間もいるはず。だったら子どもたちを入れてあげてください」

それ以来、上野駅にやって来る修学旅行の子どもたちは、休園日でも上野動物園を見物することができたそうです。