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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2016年5月15日「伝説の柔道家」

世界の格闘技の中で最強と噂されるのが、ブラジル発祥のグレイシー柔術。
そのルーツには一人の日本人が関わっています。
彼の名は前田光世。明治時代の講道館で注目された若手柔道家です。

明治37年、講道館は柔道を世界に普及させるために前田を米国へ派遣。
全米各地を回り、フットボール選手やレスラー、ボクサーらを相手に異種格闘技戦を行います。
米国で1000試合無敗という伝説を残した彼はそのままヨーロッパへ渡り、イギリスやフランス、スペインなどを回って柔道の強さを世界に知らしめたのです。

次に前田は中南米に目を向け、ブラジルの土を踏んだのが大正3年。
日本を離れてからもう10年経っていました。
前田の強さと礼儀正しい立ち振る舞いに、人々は尊敬の眼差しで彼を迎えます。
その一人がエリオ・グレイシー。
前田の門下生となって柔道を学び、独自の技術体系に確立したのが、グレイシー柔術なのです。

やがて前田は40の齢を迎えたのを機に柔道家としての活動を引退。
ふるさと日本に一度も帰ることなく、外務省の嘱託となって日本人移民をブラジルに根付かせるための活動に晩年の人生すべてを賭けました。

今年ブラジルで開催されるオリンピックでは、日本選手とブラジル選手の柔道が注目されます。
前田光世が生きていたら、さぞ感慨無量だったことでしょう。