TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(2016年3月6日「『東京』と『ニッポニア』」)
(2016年3月20日「サクラに託した思い」)→

2016年3月13日「冥王星の王子さま」

1930年のきょう3月13日、太陽系9番目の惑星となる冥王星が発見されました。発見したのは米国アリゾナ州の天文台で助手をしていた24歳の若者、クライド・トンボーです。

アリゾナの農家の息子として生まれたトンボーは小さな頃から星空を見るのが大好きで、将来は天文学者になるのが夢でした。
ところが高校生のとき、父の農場に大量の雹が降って作物が壊滅。
家はいっきに貧しくなり、大学進学を諦めざるを得ませんでした。

それでも彼は独学で星の勉強をし、父の農場に放置してあった古い農機具の部品で望遠鏡を自作して天体観測を始めるのです。
やがて、天文台に助手の仕事を見つけ働き始めます。
そして、冥王星を発見。
その功績によって奨学金をもらえることになったトンボーは、念願の大学入学を果たし、卒業後は、助手ではなく天文学の博士として、再び天文台に招かれたのでした。

2006年、天文学の国際会議で惑星の新しい定義が決まり、冥王星は惑星から除外されましたが、彼の功績が無になったわけではありません。
2015年、冥王星に初めて接近したNASAの無人探査機ニューホライズンズにはトンボーの遺灰が入ったカプセルが積まれています。
遺灰とはいえ、トンボーは人類史上もっとも冥王星に近い空間にいる宇宙パイロットになったのです。