11/8「ナイスボギー事件」
昭和62年11月8日、全米女子プロゴルフツアーで岡本綾子選手が賞金女王に輝きました。
アメリカのビッグタイトルをアメリカ人以外の選手が手にしたのは初めてで、合わせて年間最優秀選手賞も獲得。岡本選手がアメリカ・ツアーに挑戦して7年目に達成した快挙でした。
全米各地で戦う選手の多くはトーナメントを転戦する費用を自分で賄います。
日本のようにメーカーやゴルフ関係の企業と契約を結んで、経費の心配をせずに出場することはありません。
さらに日本人である岡本選手の場合は言葉の壁もありました。人種差別のやじをかけられたこともあります。
そんな彼女の長い孤独な戦いを支えてくれたのは、ツアー仲間の選手たち。
会話がうまく伝わらないときは、何度もゆっくりと身振り手振りを交えて教えてくれたり、レストランに一人で入ろうとすると、ウチに来ていっしょに食事しようと言ってくれたり。
誰もが常に「May I help you?」の精神で接してくれたのです。
そんな体験をしてきた岡本選手。
ある日本の大会で、同じ組で回っていたアメリカ選手がパットに失敗してボギーを叩いたとき、日本人ギャラリーの中から「ナイス・ボギー!」という声が上がります。
その瞬間、岡本選手は「そんな心ない、恥ずかしい声を上げないで!」と、涙を流して抗議したのです。
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