TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(10/25「一株と二人から始まったあきたこまち」)
(11/8「ナイスボギー事件」)→

11/1「心のふるさと」

あす11月2日は「白秋忌」。詩人・歌人・童謡作家の北原白秋の命日で、白秋の故郷である福岡県柳川市ではその遺徳を偲んで「白秋祭水上パレード」が行われています。

白秋にとって柳川は単に出身地ということだけではなく、創作活動の母体ともいえる心のふるさとでした。
白秋はこの地で文学の素養を磨き、19歳で本格的に文学の道に進むために上京します。
ところがその後、柳川の実家の家業が倒産。一家は大きな負債を抱えたまま、逃げるように柳川を離れ、東京で暮らす白秋を頼ります。
白秋は、故郷に自分が帰る居場所を失ってしまったのです。

それから20年後。新聞社の計らいで白秋は柳川へ帰郷する機会に恵まれます。 東京で一緒に暮らす父母や兄弟にもいっしょに行こうと誘いますが、父親は「家業を倒産させ、周りの人たちに迷惑をかけた柳川に帰るわけにはいかない」と頑に拒みました。
白秋自身も父親の負債を継ぐ者として後ろめたさを感じていたのですが、そんな不安を持ちながら柳川へ帰った白秋を待っていたのは、日の丸を掲げて心から歓迎する柳川の町の人たち。
このことから白秋は改めて柳川を"心のふるさと"として愛するようになったのです。

昭和17年11月2日に白秋が亡くなった後に、遺作が刊行されました。
それは水郷・柳川の風景と白秋の瑞々しい文章を合わせた写真集です。