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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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10/11「村を救った恩人への思い」

400年ほど昔のこと。いまの宮崎県日之影町に大人村という山村がありました。
毎年秋の早霜の害を鎮める祈祷が行われていたのですが、その儀式のために村から一人の娘の命を人身御供として供える掟があったのです。
祈祷の日が近づくと、娘のいる家にどこからか白羽の矢が飛んできて指定します。
そのたびに大人村は深い悲しみに包まれました。
人身御供として差し出した娘は、二度と帰ってきません。
でもこれを拒めば、早霜の害で地方一帯の農作物が全滅すると信じられていたのです。

この地方を治めることになったのが、戦国武将の甲斐宗摂。
彼は大人村の掟を知ると「そんな迷信に人の命を犠牲にするのは愚かなことだ」と、自ら狩りをして猪を捕らえ、それを娘の代わりに差し出すように命じます。
それ以来、人身御供の掟はなくなり、また、宗摂は領内の開拓や用水路を開削するなど善政を敷いて領民に慕われました。

しかし数年後、彼は延岡藩との戦で敗れ、自害。
その死を嘆き悲しんだ大人村の人々は、村に宗摂の供養塔を建て、命日には宗摂の好んだ歌や踊りを奉納して遺徳を偲ぶようになりました。
そしてその心は400年経った現在でも続いているのです。

大人村の恩人・甲斐宗摂を偲ぶ「大人歌舞伎」は、宮崎県日之影町大人地区「かぶきの舘」で、10月11日、今夜7時半から奉納されます。