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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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7/12「作曲家どうしの友情」

1937年7月11日、一人の偉大な作曲家が亡くなりました。
ミュージカル映画などで洒落たジャズの感覚を管弦楽で聴かせる曲を数多く産み出したアメリカの国民的作曲家ガーシュインです。
その死を悼んで追悼のラジオ番組が放送されましたが、そこで弔辞を読み上げた人物に全米のファンが驚きました。
それはシェーンベルク。大衆に愛されたガーシュインの音楽とはまったく対極の、無調音楽や12音技法で知られる現代音楽の大家なのです。

当時の作曲家たちは、ジャズとクラシックを融合したガーシュインを高く評価するラベルなどがいた一方で、プロコフィエフやシェーンベルクは彼の音楽を毛嫌いしていたといいます。
しかし、じつはガーシュインとシェーンベルクは無二の親友だったのです。

友情の始まりは、ウィーンから亡命して たまたま近所に越してきたシェーンベルクの趣味がテニスだと知ったガーシュインが、自宅のテニスコートに招いて意気投合したこと。
また二人は絵を描くという趣味でも一致し、ガーシュインが描いたシェーンベルクの肖像画も遺されています。
テニスと絵という共通の趣味を通じて、二人は音楽の信条を超えた友情を築いていったのです。

シェーンベルクは弔辞でガーシュインの業績を讃えた後、こう呟いています。
「私は自分にとってかけがえのない、愛すべき友人を失いました」