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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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5/17「日曜作曲家」

19世紀ロシアの作曲家ボロディン。
彼はロシア国民楽派の一人で、交響詩『中央アジアの草原にて』やオペラ『イーゴリ公』などで世界的に愛されています。
しかし、他の作曲家に比べると作品の数が少なく、また一つの作品を作るのに異様に長い時間を費やしています。

たとえば、出世作となった交響曲第1番は5年の歳月をかけて完成。
次の交響曲第2番は8年。オペラ『イーゴリ公』に至っては、なんと19年の歳月をかけてなお未完成。
これは彼が54歳で急死したためで、その後友人の作曲家がボロディンの残した書きかけの楽譜をかき集めて補い、なんとか世に出すことができました。
それにしても、なぜこれほど作曲が遅かったのか?

じつは彼の本職は音楽ではなく、医科大学の教授。
有機化学の研究では「ボロディン反応の化学式」の発見など多大な業績を残し、また女性の医療教育を提唱して多くの人材を育て上げた教育者でした。
その多忙な仕事のわずかな余暇を作曲に充てていたため、作品数が少なく完成まで長い年月が必要だったのです。

自分のことを日曜大工ならぬ「日曜作曲家」と謙遜して呼んでいたボロディン。しかし、わずかな時間をこつこつと積み重ね心血を注いだ彼の作品は、100年以上経った現代でも世界中の人々を魅了しています。