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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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4/12「パン代官の外交術」

きょう4月12日は「パンの記念日」。幕末の天保13年4月12日に江川英龍が日本で初めてパンを焼いたことに因みます。
英龍は伊豆韮山の代官ですが、蘭学を学び、溶鉱炉を建設したり西洋式帆船を建造したり、天然痘予防にワクチンを普及させるなど、豊かな才能を発揮。
パンも西洋の携帯食として注目し、自ら作ってみたのです。

あるとき伊豆下田に突然英国の軍艦が来航。いきなり港の測量を始め、下田の住民たちを不安にさせました。
下田奉行が駆けつけ、即刻港から出て行くよう船に呼びかけますが、船は無視して下田港に居座ります。
そこで、交渉役として英龍が乗り出しました。彼は普段は木綿の着物を着る質素な人でしたが、交渉を前にして金銀で飾り立てた刀と錦織りの陣羽織・袴をあつらえ、また家来たちにもきらびやかな羽織袴を新調。そして英国船に乗り込んだのです。

一行の豪華絢爛な出で立ちは、それだけで英国船の艦長を平伏。
英龍が厳かに日本では外国船の入港を拒否していることを伝えると、英国船は素直に下田から退去しました。
相手の意表をつく奇抜な外交術は、英龍のマルチな才能のひとつだったのです。

ところで、英龍が日本で初めて焼いたパンですが、数年前、彼が書き残したレシピに沿って地元・伊豆のパン屋さんが忠実に再現したところ、硬くて硬くて、とても歯が立たない代物だったそうです。