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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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3/15「6本の手と30本の指」

1899年、ベルリン音楽大学でわずか12歳の少年がモーツァルトのピアノ協奏曲を弾き、ピアニストとして華々しくデビューしました。
アルトゥール・ルービンシュタイン。
彼は1976年にニューヨークのカーネギーホールで引退リサイタルを行うまで長い間活躍し、その流麗な指さばきは「6本の手と30本の指の持ち主」と賛辞され、20世紀最高のマエストロの一人とされています。

ルービンシュタインがピアニストになるきっかけは、彼が3歳のとき。
姉が家庭教師を付けて受けるピアノのレッスンをずっと聴いていた彼は、レッスンが終わると椅子によじ登り、姉が弾いていた通りにピアノを弾いたのです。
その天才ぶりに驚いた両親は、すぐさま家庭教師を姉ではなく3歳の弟に付けて猛特訓を強いることにしました。

カギを掛けた練習室に閉じ込められ、何時間もさせられる基礎練習。
まだ幼い彼はそんな練習が大嫌いでした。
この苦しみから逃れたい・・・
そこで彼は片手でピアノを弾き、もう一方の手で大好きな本のページをめくって読んだりチョコレートを食べたりしたのです。
そうとは知らず、教師は彼が一心不乱に練習しているものと思っていました。

こうしてルービンシュタインは、ピアノの練習をさぼるために「6本の手と30本の指」を身に付けていったのです。