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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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10/19「二流のラヴェル」

1920年代から30年代にかけて活躍したアメリカの作曲家ジョージ・ガーシュウィン。
彼は500曲以上のポピュラーソングを送り出し、その多くがスタンダードナンバーとして親しまれていますが、ミュージカルや映画音楽、オペラも手がけ、20世紀アメリカ音楽の父と称されています。

その才能を代表する作品のひとつが、1924年に作られた『ラプソディー・イン・ブルー』。
これはジャズやブルース、ラグタイムといった大衆音楽とクラシック音楽を融合した壮大なシンフォニーです。
この作品の成功でガーシュウィンはクラシックの作曲家としても認められたのです。
ただ、彼自身はこれまでクラシック音楽の教育をきちんと受けたことがなかったので、自分の音楽の幅をもっと広げるために管弦楽の作曲法を誰かに教わりたいと思いました。

ちょうどその頃、公演旅行でアメリカに訪れていたのが、「管弦楽の魔術師」といわれる大作曲家ラヴェル。
ガーシュウィンはそのラヴェルに会いに行き、真剣な面持ちで「あなたに弟子入りして作曲法を学びたい」と申し出ます。
ところがラヴェルはこれをきっぱり拒否。その理由は次の言葉です。

「キミは既に一流のガーシュウィンなのだから、いまさら二流のラヴェルになる必要はありませんよ」。