8/10「白河の関」
今年も始まった夏の甲子園。春、夏の大会の度に次のようなことが言われています。
「今度こそ優勝旗は白河の関を越えるか?!」
白河の関とは、かつて都から陸奥の国に通じる街道に設けられた関所。
いまの福島県白河市にあり、これに因んで東北と北海道を「白河以北」と称する場合があります。
90年にわたる高校野球の長い歴史の中で東北、北海道の優勝校は一度もありませんでした。
そこで「優勝旗は白河の関を越えていない」という言い方が生まれたのです。
ところが平成16年夏の大会で北海道の駒大苫小牧が全国制覇。
ついに優勝旗は白河の関を越えた、と思いきや、そうはいきませんでした。
優勝を果たした駒大苫小牧のナインたちを乗せた飛行機のキャビンアテンダントが「深紅の大優勝旗も皆さまと共に津軽海峡を越え、まもなく北海道へ入ります」と放送。
このことから優勝旗は「白河の関」ではなく「海峡を越えた」という言い方が広まったのです。
おさまらないのは東北の野球ファン。
当時の白河市長は苫小牧市長宛にお祝いの手紙を送っていますが、その中で
「白河の関を無視して海峡まで空を飛んで行ったことは残念」と皮肉を込めています。
ともあれ、東北の人々の心の中に白河の関はいまなお生き続けているのです。
平成26年夏。今度こそ優勝旗は白河の関を越えるのか!?
|