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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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8/3「広島のソウルフード」

「広島風お好み焼き」はいまや全国に知れ渡った人気グルメですが、本家本元の広島市にはお好み焼きの店がなんと約1000店あるそうです。
広島にお好み焼きという食文化が誕生したのは、戦後です。

昭和20年8月6日8時15分、広島上空で原爆が炸裂。
爆心地から半径2キロ以内の市街地は壊滅しましたが、その外側では全壊を免れた家もありました。
その家々では男は市中心部に仕事に出ていたため被爆して亡くなり、主婦や子どもばかりが残されました。
そんな男手を失った女性たちが戦後の食糧難を生き抜くために始めた商売が、「一銭洋食」の店です。

一銭洋食とは戦前からあった駄菓子で、水で溶いた小麦粉を薄く広げて焼き、その上に葱をまぶしてソースを塗っただけの代物。
資本もいらず台所で簡単に作れるので、素人の主婦でもできる商売だったのです。
その商売をしながら彼女たちは、母親が他所で働きに出ていて家でひもじい思いをしている近所の子どもたちに、野菜屑や残り物の食材を持ってこさせ、それを一銭洋食と一緒に焼いて食事代わりに食べさせていました。
そうやって、ご近所同士で苦しい暮らしを助け合ってきたのです。
そしてこのことが、その後いろいろな食材が入ったお好み焼きへと発展していくのです。

広島の人たちにとってお好み焼きとは、戦後の街の復興を陰で支えた食。
まさに広島のソウルフードです。