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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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4/13「喫茶店事始め」

きょう4月13日は「喫茶店の日」。
明治21年のこの日、東京に日本初の喫茶店が開業したことに由来します。

店を開いたのは鄭永慶(ていえいけい)という、長崎で代々通訳を務める家系の人。
彼は14歳にして英語・フランス語・中国語をマスターし、16歳でアメリカのエール大学に留学します。
その同期生は金子堅太郎はじめ、帰国後に日本の政治・経済に大きな活躍をする者ばかり。
永慶もまた彼らに並ぶエリートでしたが、不運にも病気にかかり、大学を中途退学して帰国。エリートの道は閉ざされたのです。
そんな彼が喫茶店を開いたのは、当時の鹿鳴館が上流階級の社交場だったことに疑問を持ち、一般大衆が自由に訪れて欧米の文化に触れる社交場を作ろうと思ったからでした。

2階建て洋館の喫茶店にはビリヤードなどの遊具を置き、硯に筆、便箋や封筒も常備、国内外の新聞・雑誌や書籍を並べて閲覧できるようにしていました。
珈琲を飲ませて利益を得るためだけの店ではなかったのです。
むしろ欧米の文化を紹介したいという思いから、珈琲を飲まなくとも来店できるようにしていました。
そのため、客は来るものの売り上げは伸びず、あえなく4年で閉店。
しかし彼の思いを込めた店は、その後の日本の喫茶店文化の原点となったのです。

その店があった場所にはいま、鄭永慶を顕彰する「日本の喫茶店発祥の地」の碑が建っています。