TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(2/2「ベルツ先生」)
(2/16「逆立ちの代わりに」)→

2/9「決して会わない友情」

ロシアの大作曲家チャイコフスキー。
彼は生まれつき内気で人と接することが苦手だった反面、情熱的な人間づきあいに憧れていたそうです。

そんな彼の前に現れたのがナジェージダ・フォン・メック夫人。
大富豪だった夫の財産を引き継いで優雅に暮らしていた彼女は無類の音楽好きで、優れた作曲家を援助したいとモスクワ音楽院に申し出ました。

選ばれたのは、この音楽院で講師をしていた30代のチャイコフスキー。
メック夫人はたちまち彼の作品の虜になり、絶賛の手紙と多額のお金を送ります。
それに対してチャイコフスキーも感謝の手紙を書き、そこから二人の熱烈な文通が始まりました。

さらにメック夫人は、二人が決して会わないという条件で彼に年間6000ルーブルを援助し続けることを約束。
決して会わないという取り決めは、人づきあいが苦手な癖に情熱的な人間関係に憧れるチャイコフスキーにとって理想的なものでした。
彼は音楽院の講師を辞め、何の心配もなく作曲に専念することができたのです。

メック夫人は彼の音楽を心から愛し、チャイコフスキーは彼女の厚意に応えて数々の名作を発表。
二人は一度も顔を合わせることなく、13年間手紙だけでお互いの友情を伝え合いました。
その手紙の数は1211通に及んでいます。