9/8「母と子の読書」
『マヤの一生』『モモちゃんとあかね』などで知られる児童文学・動物文学者の椋鳩十(むく はとじゅう)。
彼は作家の他にもうひとつの顔を持っていました。
それは図書館の館長。
昭和22年から昭和41年までの19年間、鹿児島県立図書館の館長を務めたのです。
その間、彼は読書文化を広げるさまざまな活動に取り組みました。
その一つが「母と子の20分間読書運動」。
これは教科書以外の本を子どもが20分ほど読むのを、母が傍らに座って静かに聞く。たったこれだけのことです。
「そんなことをして何になるのだ」という声もありました。
実際、その当時は子どもの読書は教科書だけでよいという風潮で、全国的に子ども向けの本を置いた公共図書館はほとんどなかったのです。
しかし椋鳩十は、
「戦後の食糧難と激しいインフレで、皆その日を暮らすことで精一杯。
だからこそ読書を通じて、わずかな時間でも親子が言葉と心を通わせるかけがいのないひとときを味わってもらいたい」
と、鹿児島の行政や学校などに働きかけました。
この読書運動は、その後「親子20分読書運動」へと発展し、鹿児島県のみならず全国へ広がっていきました。
そして現在。
全国どこの図書館にも子ども向けの本が揃えられています。
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