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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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9/1「塩むすびの味」

90年前のきょう、大正12年9月1日、関東大震災が起きました。
関東一円を襲った巨大な地震は、13万人を越える未曾有の犠牲者を出し、地震に伴う火災で東京や横浜の大半が廃墟となりました。
幸い命を取り留めても、家を失った被災者はおよそ150万人。
震災後、各地に救護所が設けられ、そこで炊き出しをして被災者たちに配られたのは、おむすび です。

日本では緊急の際に手早く用意できるおむすびを昔から重宝してきました。
塩で握っただけのおむすび。
それでも命からがら着の身着のままで避難してきた人にとって、この塩むすびは忘れられない格別の味だったのです。

たまたま東京に滞在していて被災した一人のアメリカ人が途方に暮れて焼け跡に佇んでいると、やはり被災者らしい日本人が近づき、手にした一片のパンを差し出すのです。
その人がやっとありついた食べ物をもらうわけにはいかない、と固辞すると、その日本人はこう言いました。
「自分は救護所に行けばおむすびが手に入る。でも外国人のあなたには口に合わないだろうから、このパンをどうぞ」

そのアメリカ人は日本人の親切に感激しながらも、そのおむすびなるものの味を知りたいと思ったそうです。