TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(7/7「南の島の星祭り」)
(7/21「ある高官の謝罪」)→

7/14「クマの兵士」

第二次世界大戦中、1頭のクマが兵隊として従軍した記録があります。
ポーランド軍の部隊がイランに遠征した折、母親を亡くした子グマに出会い、部隊のペットとして連れていったのです。

「ヴォイテク」と名づけられた子グマは兵士たちと寝食を共にしながらすくすくと成長。
皆に良く懐き、彼らと戯れたり、誰かが歌えばそれに合わせて踊ったりして、部隊のマスコットになりました。
またヴォイテクは、輸送トラックの運転席に座って荷物番をしたり、当番兵といっしょに深夜の見張りに立ったりして部隊の手伝いもこなしたことから、軍はヴォイテクに兵士としての階級を認定します。

やがてポーランド軍は、連合国の一員としてドイツ軍と激しい戦いをしますが、その時ヴォイテクは、前線の激しい砲火の音の中で仲間のポーランド兵たちと一緒に重い弾薬の箱を運び続けました。

戦争という苛酷な世界にぽっかりと咲いた童話の主人公のようなクマのヴォイテク。
元兵士の一人は
「今となってはとても不思議な話だが、あの頃の私たちにとってヴォイテクはペットではなく、苦楽を共にする戦友だった」
と話しています。

終戦後、ヴォイテクはイギリスの動物園に引き取られ、そこで穏やかな余生を送りました。