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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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6/30「敵も味方もない。医者は命を助けるのが使命」

戦場で自らの命を盾にして患者を守りぬいた医師がいます。
その人の名は高松凌雲(たかまつ・りょううん)。

明治元年の北海道で、榎本武揚(えのもと・たけあき)率いる旧幕府軍が五稜郭(ごりょうかく)に立てこもって明治新政府軍と戦った函館戦争がおこります。
幕臣だった凌雲は、この戦いに加わると函館病院の院長に就任し、兵士達の治療にあたりますが、そこへ政府軍の瀕死の兵士が運び込まれるのです。

殺気立つ幕府軍の兵士、動揺する医師達。
しかし凌雲は毅然とした態度で敵兵を受け入れ、分け隔てなく治療したのです。また、病院に政府軍が乱入した際には
「ここにいるのは、今は病床にある負傷者だ。どうか助けて欲しい」と訴え、幕府軍の兵士を守り貫きました。
これが、日本で初めての赤十字精神に通じる人道的な医療活動であったといわれます。

戦争終結後、凌雲は明治政府の誘いも断り、東京で医院を開くと、医師仲間に呼び掛けて「同愛社(どうあいしゃ)」を創設し、貧しい人々を無料で治療する慈善診療所を多数開設するなど、高い志を全うしました。

実は、凌雲の故郷(ふるさと)は福岡県小郡市(おごおりし)の古飯(ふるえ)地区で、今も凌雲を偲んで生誕祭が開かれるなど、その博愛精神は、地元の人々の間でも大切に語り継がれています。