TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(6/16「『父の日』の父」)
(6/30「敵も味方もない。医者は命を助けるのが使命」)→

6/23「70年ぶりの金メダル」

1912年のストックホルム五輪。
全米代表のジム・ソープは、陸上の10種競技と5種競技で優勝した金メダリストです。
ところが翌年、「競技で賞金を得た者はオリンピックに参加できない」というアマチュア規定が突然厳しくなり、それが過去にも適用されて、彼はメダルを剥奪されてしまいます。

苦学生だったソープは、生活費と学費をかせぐために夏休みに片田舎のセミプロ野球チームで2、3度プレイし、
報酬を得ていたことがありました。
実は、当時の学生選手たちはこのようなアルバイトをするケースが多々あり、その場合は偽名を使って形式上は別の人間だということにしていたのですが、ソープはこのような本音と建前の使い分けができず本名を通していたのです。

メダルを剥奪されたソープは、その悔しさを紛らわすように、その後プロ野球やフットボールの選手として活躍。
一方、彼の実直な人柄とアスリートとしての才能を惜しむ人たちは、ソープ復権への運動を根気よく続けました。

IOCがソープの権利回復を承認したのは1982年。
五輪憲章からアマチュア規定が削除され、プロ選手の参加が広がっていました。 70年ぶりに戻った金メダルは、その30年前にこの世を去ったジム・ソープの墓前に捧げられたのです。