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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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12/16「鳥人幸吉」

エンジンもプロペラもない飛行機―グライダーが初めて飛んだのは19世紀末のドイツとされていますが、じつはそれより100年ほど前に同じ方法で空を飛んだ日本人がいます。
浮田幸吉。岡山藩の城下町で襖や提灯などを作っていた腕のよい表具職人です。

幼いころから空を飛ぶことを夢見ていた彼は、トンビやタカが羽を広げたまま滑空している姿を見て、「鳥の羽と胴体の大きさの比率を人間に当てはめて翼を作れば、空を飛べる」と考えました。そして表具職人として自慢の腕で木や竹の骨組みに紙や布を張り、大きな翼を作ったのです。

それにぶら下がって幸吉が飛んだのは、岡山の町を流れる旭川に架かる京橋の上。その飛行記録は、距離10m、時間にして10秒と伝えられます。浮田幸吉そのとき29歳の快挙。ところが、この飛行実験を見ていた人たちが「天狗が現れた」と大騒ぎになって、幸吉は役人に捕われます。
ときの岡山藩主は、城下を騒がせた罪として幸吉を所払い―岡山から永久追放したのです。
その後、幸吉は静岡に移り住み、岡山に戻ることなく生涯を閉じました。

時は流れ平成9年。この歴史を知った岡山の有志が、幸吉の名誉回復を企画。岡山藩主の子孫の方によって浮田幸吉の所払いの取り消しを宣言する式典を催したのです。
これを機に、世界で初めて飛行機で空を飛んだ浮田幸吉の名は、ふるさと岡山が生んだ英雄として広まっていきました。
現在、岡山市の旭川に架かる京橋には、幸吉の偉業を讃える石碑が立っています。