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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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6/10「冗談のゴール」

1904年に開催されたオリンピック・セントルイス大会。
猛暑の8月に40キロのコースで開催されたマラソンは、参加ランナーの半数が完走できませんでした。

アメリカのフレッド・ローツ選手もその一人。
15キロ地点で脱水症状を起こしてリタイアしました。
そこでたまたま通りかかった車に乗せてもらいスタジアムに帰ろうとしたのですが、スタジアムまであと8キロのところで車がエンスト。
体力を回復したローツ選手はそこから再び走りながらスタジアムに帰りました。
すると彼を待っていたのは観衆たちの歓声の嵐。ローツ選手がトップを切って走ってきたと勘違いしているのです。

もともとひょうきんな性格のローツ選手。よせばいいのに、冗談のつもりで観衆に手を振りながらゴールインしてしまったのです。
「いや、違うんです。冗談なんです」と弁解する彼の声は歓声にもみ消され、ローツ選手はあっという間に表彰台に連れていかれます。

そこへ間が悪く、本当のトップランナーがゴール。その場でローツ選手は「キセル」という不正を犯した卑怯者だと糾弾されたのです。
ほんの冗談が招いた最悪の屈辱。
でも、ローツ選手は翌年のボストンマラソンで初優勝を飾ります。

そのとき、彼は「去年のオリンピックで私がレースをごまかそうというつもりがなかったことを証明するには、このボストンで優勝するしかないと思った。私は自分がスポーツマンだということを知ってもらいたかったんだ」と語っています。