TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(12/4「ドンネル先生」)
(12/18「八雲が愛した熊本」)→

12/11「天野博物館」

天野(あまの)博物館??
日本人の名前を冠したミュージアムが、南米ペルーの首都リマにあります。

天野芳太郎(よしたろう)さんは、10歳のときに函館の海岸で4000年前の石の斧、
石斧(せきふ)を発見。それをきっかけに考古学に夢中になりました。
でも、大人になって彼が選んだのは考古学者ではなく、実業家への道。
31歳で南米へ渡り、パナマに百貨店、チリに農場、コスタリカに水産会社、
エクアドルに製薬会社と、手広く事業を広げていったのです。

ところが太平洋戦争が始まると、彼はスパイの容疑でアメリカ政府に拘束され、
すべての財産を没収されて日本に追い返されてしまいました。
それでも諦めることなく、戦後、天野さんはこつこつとおカネを貯め、
53歳にして再び南米をめざします。

ペルーでは天野さんを知る現地の人たちが大歓迎。
だれもが喜んで仕事を手伝い、天野さんはやがて実業家として復活することができました。
そこで得た財産を使って天野さんが行ったのが、古代インカ遺跡の発掘。
およそ10年かけて砂漠の地下からおびただしい数の土器や織物などの副葬品を発見したのです。
そして、これら2万点以上もの遺物を展示するために天野博物館を建設。
ペルーの人たちみんなに国のいにしえの暮らしを間近に見てほしいという思いから、
入場無料にしました。
彼はこの博物館の建設と運営資金のために、自分の経営する会社をあっさり売り払ってしまいました。

南米一の実業家と謳われた天野さんですが、夢はやはり考古学。
数々の事業は、その夢を実現させるための手段に過ぎなかったのです。
1982年に84歳で亡くなった天野さん。
天野博物館はいまも彼の遺志を受け継いで、入場無料を貫いています。