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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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11/13「沖縄のD51」

沖縄県那覇市の与儀公園。
その公園の片隅に蒸気機関車D−51(デゴイチ)が展示されています。
平成15年にモノレールが走るようになるまで、沖縄は全国で唯一、鉄道がなかった県。
D-51が走ることなどなかったはずなのに、なぜここにあるのでしょう?
話は昭和47年に遡ります。

沖縄の本土復帰と国鉄100年を記念し、
北九州市の当時の国鉄門司鉄道管理局の職員有志が、沖縄の子供たちを福岡に招くことにしました。
そのとき那覇市内の小学生72名が招待され、国鉄職員宅でホームステイしながら、
8日間の楽しい生活を送りました。
初めて見る九州の自然や温かく迎えた里親の心遣いに子供たちは感激しましたが、
とりわけ心を奪われたのは、初めて身近に見た巨大な蒸気機関車の迫力。
眼を輝かせて食い入るようにみつめる子どもたちが
「沖縄の友だちにも見せてあげたい」と言い出したのです。
それを聞いた国鉄職員たちは、鉄道のない沖縄の子供たちのために、
九州を走り続けた蒸気機関車をプレゼントしようと思い立ちました。

ところが、鹿児島から海上600キロを隔てた那覇へ重さ90トンの機関車を運ぶには、
高度の輸送技術と莫大な費用がかかります。
でも、この計画の話が広がると、経験深い輸送業者が協力を申し出、
また国鉄職員はじめ全国から1400万円という善意のカンパが集まり、
機関車の輸送が実現したのです。

昭和48年3月に与儀公園でD51がお披露目されたときには、それを一目見ようとクルマが渋滞。
沖縄の大人も子どもも熱狂的に歓迎したそうです。
鉄道がない沖縄にいまも大切に保存されているD51には、
九州の大人たちと沖縄の子どもたちの心温まる友情が込められているのです。