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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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10/9「被災地の空を舞った絆の翼」

今年の夏、青森県三沢市(みさわし)の上空を一機のプロペラ機が飛行して大きな歓声に包まれました。
その飛行機は、初の太平洋無着陸横断飛行を成功させたミス・ビートル号を復元したものでした。

今から80年前の昭和6年、日本の新聞社によって太平洋無着陸横断飛行に懸賞金がかけられ、
二人のアメリカ人パイロットが挑戦することになりますが、
離陸地点として選ばれたのが三沢の淋代海岸(さびしろかいがん)でした。

この頃、日本は満州事変を起こし日米間は険悪な状況で、
二人のパイロットも当局の厳しい監視を受けますが、
そんな中、三沢村の人々は、青年団が砂浜に厚い杉板を並べて滑走路を造るなど献身的に協力。
10月4日に淋代海岸を飛び立った飛行機は翌、5日にワシントン州ウェナッチ市の飛行場に
胴体着陸し、41時間13分の太平洋無着陸横断を見事成功させたのです。

歓迎のパレードが盛大に行われる中、二人は三沢の人々の親切を伝え、
機内食にと持たされた赤いリンゴが話題になりました。
実はウェナッチはリンゴの大産地だったのです。
これが縁で交流が生まれた三沢市とウェナッチ市は、50年後の昭和56年に姉妹都市となりました。

そして、太平洋横断80周年の今年に向けて、
機体の復元など両市の多くの人々の協力のもと準備が進められました。
東日本大震災の発生で中止も検討されましたが、被災地を勇気づけたいと
真っ赤な機体のミス・ビートル号が三沢の空を舞ったのです。

その翼は、時を超えて結ばれた人々の絆でした。