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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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10/2「煎餅が支える鉄道」

千葉県の小さな町を88年前から走るローカル鉄道「銚子電鉄」。
全長わずか6.4キロ。走っている電車は、全国で使い古された車両を安く買い取ったもので、
自転車にすら追い越されてしまうほどゆっくりと走る、のんびりした鉄道です。
ところが、地域社会の移り変わりの中で、全国の多くのローカル鉄道は、
利用客の減少で赤字を抱えるようになっていきました。
銚子電鉄も例外ではありません。

平成18年。とうとう車両を法定検査する費用が足らなくなりました。
期限内に検査して修理できないと、電車を走らせることはできません。
鉄道存亡の危機です。そこで銚子電鉄は会社のホームページにこんなメッセージを出しました。

「電車の修理代を稼がなくちゃいけないんです。濡れ煎餅を買ってください!」

濡れ煎餅とは、銚子の町の主要産業である醤油の美味しさを活かした軟らかい煎餅です。
銚子電鉄では鉄道の赤字を埋めるために、11年前から副業として濡れ煎餅を製造し、
駅の売店などで細々と売っていたのです。

それにしても、企業が恥を忍んで倒産の危機を
ストレートにホームページに訴えるなど、通常では考えられないことです。
でも、寄付や募金に頼らずに、鉄道マンたち自らが、
煎餅を焼いて売るという努力で困難に立ち向かおうとする姿勢は、
インターネット上で多くの人々の心を打ちました。

ホームページでの発表から2週間後。
それまで1日に10セットもなかった煎餅の注文が、全国各地から1万件を超えたのです。
電車の修理代が捻出できたことは、言うまでもありません。
そして現在も、運賃収入を4倍も上回る濡れ煎餅の売上げが、
銚子電鉄の毎日の安全運行を支えています。