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提供:創価学会
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8/14「5打席連続敬遠」

平成4年8月16日。夏の甲子園2回戦の明徳義塾高校対星稜高校の試合で、その事件は起こりました。

高校野球史上屈指のスラッガーとして注目を浴びていた星稜の4番打者が、
明徳から徹底的にマークされた末に、5打席連続敬遠されたのです。
この試合で彼は一度もバットを振らせてもらえないまま、星稜高校は2回戦で敗退してしまいました。

超満員のアルプススタンドからは明徳の敬遠作戦を非難する大きな怒号が湧き、
実況中継するアナウンサーも「勝負してほしい」とコメント。
翌日の新聞には「そこまでして勝ちたいか」と活字が踊り、
高野連の会長が異例の会見を開いて明徳の投手を名指しで批判しました。

しかし、大人たちがヒステリックな大騒ぎをする中で、
ことを冷静に受け止めたのは、その当事者である両校の選手たちです。
敬遠は、野球をする上で認められた立派なルール。そ
のルールに則り、試合に勝つために最良と思われる選択をとった??それだけのことなのです。
9回を投げ切ってマウンドを降りた明徳の投手は、試合後に報道陣から敬遠のことを訊かれて、
「チームが勝つために、監督の指示通りにやったことです」と答え、
5打席すべて一度もバットを振ることができなかった星稜の4番打者は、
その心境を問われて、「野球には、こういうこともあります」と淡々と答えました。

そして、この試合に負けた星稜高校は、
試合に勝った明徳義塾高校のチームに自分たちの千羽鶴を託して、健闘を祈ったのです。
ちなみに、この試合で一度もバットを振ることができなかった星稜高校の選手の名前は、松井秀喜。
現在、大リーグで活躍する松井選手、18歳の夏の思い出です。