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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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6/12「登山ガイド犬」

大分県・くじゅう連山に登る登山者やハイカーたちの間で「伝説の犬」の話が語り継がれています。

痩せて毛が抜け落ちた子犬が捨てられていたのは、昭和48年。
かわいそうに思った登山口のバスの切符売り場のおじさんが、面倒を見ました。
「平治」と名づけられたこの子犬は、お弁当を分けてもらえるからか、よく登山客にくっついて山を登るようになりました。
やがて毛並みもよくなり、平治が立派な秋田県だということもわかり、
以来、平治は登山者をガイドする犬となったのです。

平治は、登山客のペースに合わせてゆっくりと先頭を進んでいき、
分かれ道になると必ず立ち止まって待ち、また、山小屋での休憩では、決して中には入らず外に座って待ちます。
そうやって、言葉が解るかのように、ちゃんと目的地まで案内するのです。
平治はまた、道に迷ったり、霧や吹雪で立ち往生した登山者を誘導して無事に下山させたことも数知れません。

登山者たちに愛され、可愛がられた平治は14年間登山ガイド犬として活躍しましたが、
老衰のために昭和63年春に引退。
その年の夏、弱った足腰を奮い立たせて登山客を山のキャンプ場まで案内して、
そのまま力尽き、静かに息を引き取ったのです。
周りに居合わせたキャンパーや登山者たちが泣き崩れました。
駆けつけた飼い主のおじさんは「長い間、ご苦労だったなぁ、ありがとう平治」とつぶやきながら、
平治の亡骸を抱きかかえて下りていきました。

やがて、くじゅうの登山口に、山を見上げる平治の銅像が建ちました。
その像に安全を祈る?これがいまのくじゅう登山の習わしなのです。