TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(5/1「増えた乗客」)
(5/15「日本女子野球」)→

5/8「赤十字の父」

5月8日は「万国赤十字デー」。
これは赤十字の父と呼ばれるアンリ・デュナンの誕生日を記念して定められました。

1828年にスイスで生まれたデュナンは、若くして土地開発や金融の会社を興した実業家でした。
31歳のとき、事業のために北イタリアに向かいます。
そこで遭遇したのがイタリア・フランス連合軍とオーストリア軍との戦争。
何万人もの兵士が死亡し、傷つき倒れ、放置されていたのです。
初めて戦場を見た彼は「同じ人間どうしがなぜ傷つけあうのか」と激しいショックを受け、
無我夢中で町の人々といっしょに、敵・味方の区別なく傷ついた兵士を助けました。

旅を終えスイスに帰った彼は、自ら戦争の悲惨な状況を語る本を自費出版し、
国際的な救護団体の設置を訴えました。
そして、それを実現させるために4人のスイス人の仲間とともに「五人委員会」を結成。
ヨーロッパ16か国の代表者を招いて国際会議を開き、戦場では敵・味方の区別なく手当すること、
また、手当を行う人を攻撃してはいけないというジュネーブ条約を作りました。
そして、その救護組織として国際赤十字が誕生したのです。

しかし、デュナンはその後、自分の会社の経営に失敗して莫大な借金を抱えてしまい、
追われるように人々の前から姿を消してしまいます。
彼は晩年、小さな町の老人ホームでひっそりと暮らしていました。
そのことを偶然知った新聞記者が記事にしたことから、
デュナンの功績が再評価され、1901年、最初のノーベル平和賞が彼に贈られました。

彼はその賞金を全額赤十字に寄付し、
自分は目立たないように葬儀をしてほしいと遺言を残して、1910年、静かに82年の生涯を閉じています。