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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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3/13「宇宙ロケットの父」

世界で初めて宇宙ロケットが打ち上げられたのは、1926年3月16日です。
火薬を詰め込んだロケット花火は13世紀からありましたが、
それが宇宙へ飛んでいくなどとは、誰も想像していませんでした。

少年のころからSF小説を愛読し、いずれは月に行きたいという夢を抱いていたのは、
アメリカの無名の大学教授・ロバート・ゴダード。
彼は研究の末、液体燃料による3段式のロケットを開発。
マサチューセッツのおばさんの農場で打ち上げ実験に成功したのです。

ただ、その飛行時間2.5秒。
飛行距離56m……集まった新聞記者たちには、おもちゃの花火が火を噴いただけにしか見えず、
嘲笑しながら帰っていきました。
そして翌日のニューヨークタイムズには、
「空気も重力も無い宇宙空間でロケットが飛ぶことはありえない。
ゴダード博士は高校生でも知っているはずの常識さえも持ち合わせていない」と酷評する社説が掲載されたのです。
世間から嘲られ奇人変人扱いされたゴダード。
それにもめげずに打ち上げ実験を続けると、パトカーや消防車が駆けつけ、
「近所迷惑なことはするな」と警察に連行される始末でした。

そんな中でただ一人、宇宙への夢を追うゴダードに共感した人物がいました。
それは、世界初の大西洋横断飛行に成功したリンドバーグ大佐。
彼の励ましと資金援助によって、ゴダードはその後も研究と実験を続けることができ、
1945年に亡くなるまで、宇宙ロケットの実用化に大きな業績を残しました。

アポロ11号が月に着陸したのは1969年。
その日、ニューヨークタイムズは、かつてゴダードを非難したことを49年ぶりに謝る社説を発表。
そこには生前のゴダードのこんな名言も紹介されています。
「昨日の夢は、きょうの希望であり、明日の現実である」