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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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1/9「新聞少年」

「新聞少年」という言葉があります。
各家庭に新聞を届ける戸別配達網。
その一翼を担っているのが、新聞少年と呼ばれる多くの子どもたちです。
新聞配達をする高校生や大学生はいまも見かけますが、
昔??昭和40年代くらいまでは、小学生の姿も見受けられました。

現在、福岡市内に住む56歳の平野さんもその一人。
46年前、母子家庭で小学生だった彼は、少しでも家計の助けにと、夕刊の配達をしていたのです。
60部の新聞を束にして襷にかけ、1時間かけて田舎道を走りながら配っていく毎日。
放課後、友だちと遊ぶことが出来ない寂しさを抱えながら、お母さんのためにという一心でがんばっていました。

ある冬のこと。大雪が降り積もりました。
それでも彼はいつものように新聞の束を抱えて配達に出発しました。
でも、配達を終えて帰宅したのは、日が暮れて夜になったころ。
暗くなっても帰ってこない息子を心配したお母さんが、家の表で待っていました。
彼の帰りが遅かったのは、大雪のせいだけではありませんでした。
新聞を配って歩く先々の家で引き止められ、暖を取っていくことをすすめられたり、
温かいココアを飲ませてもらったりしたからなのです。
そしてポケットには、キャラメルやチョコなどのお菓子がいっぱい。
「お小遣いにしなさい」と持たされた、紙に包んだ50円玉も入っています。
配達先でのいたわりや激励。
雪の降る寒い日にも健気に新聞配達をする小学生に同情してのこともあったでしょうが、
小学生の平野さんは、このとき「僕が配る新聞を地域の皆さんが待っている」ことを強く感じたそうです。

家庭の事情で仕方なく始めた新聞配達ですが、それから彼は、新聞少年としての責任と誇りを持ちながら、
中学を卒業するまで、一日も休むことなく新聞配達をやり通したそうです。