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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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1/16「迷惑かけて、ありがとう」

ボクシングの元日本フライ級チャンピオン・斎藤清作(さいとうせいさく)さん。
「たこで〜す」で人気者になった、たこ八郎さんと言ったほうがお馴染みかもしれません。

たこさんは昭和15年、宮城県仙台市で生まれ、
幼いころ、友だちが投げた泥だんごが目に当たり、左目の視力を失ってしまいます。
それでも、ボクシングを志し、プロテストのときは視力表を丸暗記して合格した、と後に語っています。

彼の武器はノーガード戦法といって、相手に打たせるだけ打たせて、
相手が疲れたころに一気に反撃するファイトスタイルです。
後に、漫画「あしたのジョー」のモデルになったともいわれ、対戦相手にとっては、本当に不気味な相手だったそうです。
しかし、頭部に受けたダメージが大きく、やがてパンチドランカーになってしまい、言語障害と夜尿症に悩まされました。

引退後は知り合いの家を転々としながら、コメディアンや俳優としても活躍しますが、
セリフを覚えられないのでチョイ役ばかりです。
それでも彼の素朴で温厚な人柄はだれからも愛され、
お酒が大好きだった彼は飲み屋でも「たこちゃん、たこちゃん」と親しまれて、代金を請求されることはありませんでした。

彼の口癖は「迷惑かけて、ありがとう」。
最期はお酒を飲んで海に入り、心臓発作で昭和60年に亡くなりましたが、
師匠だった由利徹さんや赤塚不二夫さんたちの手で「たこ地蔵」が建てられました。
その地蔵のお腹には「迷惑かけて、ありがとう」の文字。
人間関係が希薄といわれる昨今では、迷惑をかける人がいるだけでもありがたい、
という深い意味が込められているようにも思えます。