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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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12/12「料理に込められた想い」

鹿児島県の霧島食育研究会は、毎年秋に「霧島・食の文化祭」を開催しています。
このイベントは、子どもや孫に伝えたい郷土料理をひとりひとり持ち寄って会場で披露するものです。
参加者は千人を超え、会場内はまるで家庭料理大集合といった雰囲気に包まれます。

このイベントのルールはただ一つ。
持ち寄った料理といっしょに「その料理への想い」を紙に書いて提出することです。

80代の女性が作って持ち寄ったのは、「塩ドーナツ」。その想いとして、こんなことが書かれていました。
「戦後の昭和21年、お腹を空かせた3人の妹たちのために作った塩ドーナツです。
砂糖が手に入らないので、小麦粉に重層と塩を入れて作りました」
いまでは、砂糖が手に入らないなんて想像もつきませんが、
3人の妹さんたちは、しょっぱいドーナツに込められたお姉さんの愛情を感じとったに違いありません。

また50代の女性は、「母ちゃんの声」という名前の高菜のおにぎりを提出しました。
彼女の母親は、畑に行く前に必ず、
「やすこー、きよみー、さとるー、畑に行ってくるよー」と幼い子どもたちに呼びかけ、
高菜のおにぎりを置いていかれたそうです。
けっして裕福ではなかったのに、子どものために高菜のおにぎりを握ってくれたお母さん。
残念ながら、早くに亡くなったそうですが、彼女にとって、高菜のおにぎりは「母ちゃんの声」そのものだったのです。

料理を見るだけで思い出す、大切な人、大切な時間。
それを次の世代に伝えていくことが、食育の原点なのではないでしょうか。