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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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12/19「初めて空を飛んだ二人」

今から100年前の今日??明治43年12月19日、日本の空に初めて飛行機が舞い上がりました。

操縦したのは、徳川好敏(よしとし)と日野熊蔵。
ともに陸軍の将校で、ヨーロッパに留学して操縦法を学び、
それぞれフランス製とドイツ製の飛行機を日本に持ち帰って合同で飛行実験を行なったのです。
いわば、この二人は、初めて空を飛んだ日本人。
ところがその後、二人のうち日野熊蔵の名前が、この史実から消えてしまいました。

日野は軍人というより生粋の技術者。
仕事そっちのけで飛行機に熱中することから、軍律を乱す人物とみなされ、東京から福岡へ左遷。
それとともに「初めて空を飛んだ日本人」という栄誉も剥奪されたのです。
しかし、福岡に赴任した日野は気落ちすることなく、
ますます大好きな飛行機の設計や飛行実験に情熱を傾けていきました。

その後、日野は40歳の若さで軍人を退役し、発明家として生涯を貫き、昭和21年、67歳でこの世を去ります。
彼が日本の空を初めて飛んだ人物だということを知る人はいませんでした。

しかし、昭和35年。
日本の航空50周年を記念した祝賀会に、初めて空を飛んだ人物として、76歳になった徳川好敏が招かれました。
その挨拶で彼はこう語りました。
「私どもの50年前の飛行が、このようなお祝いを受ける価値があるとすれば、日野さんの霊といっしょにお受けしたい」

徳川は、ともに空を飛んだ日野の消息をひそかに探していたのです。
現在、東京で二人が初飛行をした跡地の代々木公園には、
日本の空のパイオニア??徳川と日野の銅像が仲良く並んでいます。