TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(6/13「愛の理髪師」)
(6/28「もうひとりの宮沢」)→

6/20「五輪無冠のトビウオ」

1948年、敗戦後の日本に大きな勇気を与えてくれた水泳選手がいました。

彼の名は、古橋広之進(ふるはしひろのしん)。
この年、ロンドンでオリンピックが開催されますが、敗戦国である日本は参加が認められませんでした。
日本水泳連盟は、敗戦で打ちひしがれる日本人に、なんとか祖国再建のきっかけを与えたいと、
あえてオリンピックが開催される同じ日に「日本選手権大会」を開催しました。

このとき、オリンピックで優勝した水泳選手より、8秒近くも上回る世界記録を出したのが古橋です。
この快挙は日本中を沸かせますが、古橋の記録は海外からはまったく相手にされず、
「日本のプールは短い」とまで言われる始末でした。

この悔しさを胸に、古橋が世界の舞台でその実力を発揮できたのは、翌年のロサンゼルス全米選手権でした。
国民の期待を背負った古橋は、1500m、400m、800mリレーと次々に他者を圧倒して優勝。
アメリカ中に旋風を巻き起こし、このときに付いたニックネームが「フジヤマのトビウオ」です。
号外は、いくら刷っても飛ぶように売れたといわれています。

しかし古橋はオリンピックとは縁がなく、日本の参加が再び認められたヘルシンキ大会では体力がついていかず、結果は第8位。
そのとき、実況中継を担当したアナウンサーは涙ながらに叫びました。

「古橋は、戦後の明るい光でした。古橋の活躍なくして戦後の日本の発展はあり得なかったのです。どうか古橋を責めないでください。」
結果よりも、感謝の気持ちを??
日本中がアナウンサーと同じ気持ちになって、古橋にいつまでも惜しみない拍手を送りました。