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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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5/16「余部(あまるべ)鉄橋」

兵庫県香美町(かみちょう)??日本海に臨む小さな漁村をひと跨ぎする鉄道の橋が架かっています。
山陰本線の余部鉄橋です。

全長310メートル。橋脚の高さは、ビルの15階に相当する42メートル。
当時の技術の粋を集めて明治45年に造られました。
余部鉄橋と周りの自然とが作り出す四季折々の風景は、
鉄道ファンだけではなく、この地を訪れる観光客をも魅了しています。

しかし、橋の真下にある村人たちにとっては、自分たちの村の上空を列車が渡っていくのを見上げるだけ。
彼らが列車を利用するには、山を登って鉄橋を徒歩で渡り、
さらに大小4つのトンネルを抜けて2キロほど線路を歩いた先の駅に行くしかなかったのです。

「この村にも駅を作ってほしい」
陳情しても、なかなか願いは聞き入れません。
ところが、昭和の中頃、鉄橋のたもとにある余部小学校の児童たちが、
駅の設置を願う手紙を出したことが県知事の心を動かし、やがて村の真上に駅を作ることが決まりました。
児童たちは手紙を書いただけではありません。
建設が始まると、大人たちに交じって、駅へ続く道の土運びをしたり、
プラットホームの材料になる石を、海岸から皆で運んでいったりしたのです。
餘部(あまるべ)駅ができたのは、昭和35年。
鉄橋が出来て48年後のことでした。
そして、そのとき初めて、余部小学校の校歌に余部鉄橋が盛り込まれたのです。
「緑の谷に そびえ立つ 鉄をくみたる 橋の塔」

余部鉄橋は現在コンクリートの橋へと架け替えられ、ほどなく消えていきます。
でも、余部小学校の校歌で、鉄の橋はいつまでも歌い継がれていくことでしょう。