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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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5/23「ファインプレー」

1996年11月、兵庫県でプロゴルファーの男子トーナメントが開催されました。
このとき、初のシード権を獲得して参加したのが福澤義光(ふくざわよしみつ)選手です。

トーナメントは最終日を迎え、福澤選手が15番ホールで第3打を打とうとしたときのこと。
彼のボールは一匹のトンボの真上に乗っていて、下敷きになったトンボは身動きが取れなくなっていました。
福澤選手は悩みますが、ボールを動かせば、ペナルティとして自分のスコアに1打追加されてしまいます。
それでも彼は、ペナルティを承知でボールを手で持ち上げ、
トンボが元気に飛び立つのを確認してからボールを置き直し、プレーを再開しました。

もともと彼はこの試合の成績はあまりふるわなかったのですが、ペナルティも重なり、
結果は67位の単独最下位になってしまいました。
福澤選手はマイクを向けられると、
「あのまま打てば、トンボは確実に死んでいた。それはかわいそうだと思った」とコメントし、
ほのぼのとした感動を与えました。

翌日、このエピソードが新聞で紹介されたことからユネスコの目に留まり、
福澤選手は1996年度ユネスコ日本フェアプレー特別賞を受賞しました。

ゴルフは本来、木や岩などがあっても「あるがままに打つ」ことを基本とし、
ルールに対して厳しく自分を律することから「紳士のスポーツ」と言われています。
それでも、ボールを動かすことはルールに反すると知りながら、
トンボの命を優先した彼のやさしさは、海外からも賞賛されるファインプレーだったのです。