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提供:創価学会
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9/13「瞳の会」

昭和29年9月14日、映画『二十四の瞳」が全国で封切られました。

物語の舞台は、瀬戸内海に浮かぶ小豆島。
赴任してきた一人の若い女性教師と12人の児童たちとの師弟愛、心温まる交流が描かれ、
それが戦争や貧困によって引き裂かれていく様子が島の美しい自然の中に対照的に映し出されています。
監督は木下恵介。
主人公の「おなご先生」を演じたのは、当時のトップ女優・高峰秀子ですが、
もう一方の主人公たち、12人の教え子を演じたのは、子役俳優ではなく、素人の子どもたちです。
しかも、映画の中では12人の小学校低学年のときから高学年までを描くため、顔が似ている兄弟・姉妹を全国から探し出しました。
こうやって選ばれた24人の子どもたちの中には、地元・小豆島に住む一組の兄弟もいて、
カメラの前で清らかな明るい瞳を輝かせる教え子の低学年時代と高学年時代を、それぞれ一生懸命演じたのです。

この映画は当時、観客に最も涙を流させた作品といわれ、その年の映画賞を独占。
ゴールデングローブ賞外国語映画賞も受賞しました。
が、出演した24人の子どもたちの中から、これをきっかけに俳優の道に進んだ人は一人もいません。
ただ、何ヶ月にも及んだ小豆島での撮影を通じて、映画の中の物語と同じような絆で結ばれた24人は、その後、「瞳の会」という親睦会を結成しています。

それから53年後の平成19年。
名作『二十四の瞳』の古いフィルムを修復したデジタルリマスター版が完成。
その公開上映に瞳の会の面々が招待されました。
当時は小学生だった子役たちも既に50代後半から60代。
亡くなった方もいて、集まることができたのは24人のうち12人です。
その寂しさを抱えながらも、12人はスクリーンの中の懐かしい自分たちを愛おしそうにみつめていました。