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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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8/30「父と息子の「昆虫記」」

ファーブルの「昆虫記」。
本国フランスよりも日本の方で有名だといわれ、今も親から子へ読み継がれる名作ですが、「昆虫記」そのものも、親と子が力をあわせて次の時代へと遺したものでした。

ファーブルが「昆虫記」の第1巻を発表したのは1879年、55才のときのことですが、その後長年連れ添った妻が亡くなり63才で再婚。
3人の子供に恵まれました。
「昆虫記」の中の「セミ」について述べたところでは、夏に家族5人でセミの幼虫を探し、フライにして試食したことが微笑ましく語られ、「コオロギ」のところでは息子のポールがコオロギを捕まえる姿を、自分の幼い日の姿と重ね合わせながら優しい眼差しで見つめています。

「昆虫記」はおよそ30年をかけて第10巻まで発表されますが、ポールは成長とともに助手として父親の研究を助け、昆虫の生態や父親が研究する姿を、
当時まだ黎明期だったカメラで撮影しました。

実はファーブルは当初「昆虫記」に挿絵を入れていませんでした。
昆虫の姿が正しく伝わらないことを嫌ったためでしたが、のちに「昆虫記」の改訂版を出版した際には、ポールの撮影した写真を多数掲載しています。
このポールの写真はその後の「昆虫記」の普及に大きな役割を果たし、またネイチャーフォトの先駆けとして高い評価を受けています。

研究者と助手として、父親と息子として、深い信頼で結ばれたファーブルとポール。
今日多くの人が知る「昆虫記」の世界は、そんな二人の合作とも言えるものなのです。
今年も夏休みが終ろうとしています。この夏の思い出に親子で「昆虫記」のページを開いてみませんか?