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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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6/28「101個の椰子の実」

愛知県田原市の渥美半島の先端に位置する伊良湖岬には恋路が浜と呼ばれる美しい海岸があります。
ここは、今も多くの人に愛され歌い継がれている
「椰子の実」のゆかりの地として知られています。

「名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実ひとつ」。

島崎藤村のこの詩は、かつて伊良湖岬を訪れた民俗学者の柳田国男が海岸に流れ着いた椰子の実に心惹かれ、そのことを藤村に語ったことがきっかけとなって生まれました。
そのエピソードにちなんで、田原市の観光協会が行っているのが椰子の実の投流です。
「遠き島」に見立てた石垣島から、毎年およそ100個の椰子の実を海に流すもので、昨年で21回を数えました。
プレートをつけ、恋路が浜へ流れ着くことを願って流された椰子の実の数は2404個。そのうち101個が、九州は鹿児島や宮崎、熊本、長崎、北は山形など各地に流れ着いています。
2001年(平成13年)には恋路が浜から数キロ東の田原市の和地海岸に流れ着きました。

遠く石垣島から波にゆられて旅をした椰子の実は、流れ着いた海岸で様々な人々に拾われ、101の様々な出会いを紡いだのです。
また回を重ねた投流事業は田原市と石垣島の人々の交流という新たな出会いも育みました。
今年も田原市観光協会は5月27日に110個の椰子の実を石垣島の沖合いから海に投流しています。

今頃、椰子の実達は波にゆられてどこを旅していることでしょう。
この夏、どんな出会いが生まれるのか。
椰子の実を拾うのはあなたかもしれません。