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3/15「校長先生の卒業証書」

桜の開花が待ち遠しいこの季節、全国各地で卒業式が開催されています。
ちょうど一年前、兵庫県丹波市の東小学校では、例年とは少し違う卒業式が行われました。
それは、6年生の卒業と同時に、定年退職を迎える校長先生も一緒に「卒業」を祝おうというものでした。

谷口校長が東小学校に赴任したのは、卒業生たちが4年生に進級したときです。
谷口校長は、得意な歴史のクイズを出題したり、道徳の授業に参加したり、児童たちとのふれあいを何よりも大切にしてきました。
児童たちは、自分たちの卒業と谷口校長の退職が同じ時期であることを知ると、感謝の気持ちを伝えるために、自分たちにも何かできないかと「校長先生の卒業式」を企画。
プログラムをすべて自分たちで考えて、休み時間や放課後などを利用して、密かに準備を進めてきました。

そして、迎えた卒業式の日。
6年生の卒業式が終わると、体育館には新しいクス玉や垂れ幕が用意され、児童たちが谷口校長を呼びに行きました。
真っ赤なじゅうたんの道に誘導され、卒業生・谷口校長が入場すると、会場内から盛大な拍手で迎えられました。
児童たちは、まず、それぞれが評価した通知表を手渡しました。
それには、「谷口校長は、とても話が上手です」「いつも燃えているところがいいと思います」などと書かれていました。
そして、手作りの卒業証書の授与。
「3年間、東小学校を支えてくださり、ありがとうございました」。
思いがけない退職祝いを受け取った谷口校長。
今度は答辞を述べる番です。
声を詰まらせながら「60年間の人生で、いろいろな人に出会いましたが、皆さんと出会えたことを心からうれしく思います。」と挨拶すると、会場内からも児童たちのすすり泣く声が漏れました。

去年の春、こうして6年生38名、プラス1名の卒業生は、それぞれの卒業証書を胸に、東小学校を旅立ちました。