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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2/8「ランタンに込められた思い」

いま長崎市内では、色鮮やかなランタンが夜を彩る「ランタンフェスティバル」が開催されています。
冬の長崎観光の目玉として多くの観光客を集めていますが、実はこのランタンフェスティバルは、もともと新地・中華街に住む人たちの、ふるさとへの思いから生まれた小さなお祭りなのです。

長崎・新地の中華街を築いたのは、大陸から日本へやってきた華僑の人々です。
明治から大正、昭和にかけて、「包丁、カミソリ、ハサミが使えれば長崎で生活できる」と華僑の間で言われていました。
包丁は料理、カミソリは理髪、ハサミは洋裁のこと。
そこで料理などの技術をもった多くの若い中国人が長崎に集まり、懸命に仕事をしながら中華街を形成していったのです。
しかし、彼らのほとんどは店の切り盛りや家族を養うのに一生を費やして、死ぬまで再び祖国の土を踏むことはありませんでした。

そんな両親たちのふるさとへの思いを、何かのカタチで供養したいと考えたのが、その子どもたち。
長崎で生まれ、長崎で育った二世たちです。
彼らが注目したのは、中国で旧正月を祝う春節祭。
中国・福建省から本物のランタン500個を取り寄せて、中華街の十字路を飾りました。
1987年の2月中旬。
爆竹や獅子舞など中国伝統の祭りを三日間にわたって再現したのです。

それから四半世紀。華僑一世の人たちのふるさとへの思いを500個のランタンに込めて始まった小さなお祭り・・。
今年は1万5000個のランタンが冬の長崎市内を彩っています。