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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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1/18「エベレスト登頂への友情」

登山家・田部井淳子(たべいじゅんこ)さん。
彼女は、1975年、標高8848mのエベレストの登頂に世界で初めて成功した女性です。

エベレスト登山の場合、ベースキャンプから第1キャンプ、第2キャンプと、頂上に向かって数ヶ月を費やして足場を作っていき、その間を何度も往復して荷物を上げていきます。
ずっと続く登山隊だけの共同生活・共同作業。
その中で田部井さんはリーダーとして、ときに心を鬼にして隊員に接しました。
全員が「登頂したい」という熱い思いで参加していますが、怪我や高山病などで体調を壊した人には、「あなたはこれ以上、駄目です」とはっきり言い渡したのです。
そうしないと、その人も危険だし、他の隊員も危険。
相手には恨まれるけれど、命を落とされるよりはいい。
生きているということが、一番大事なのです。
そして、ついに明日は頂上というとき。
アタックできる体力をもっているのは、田部井さんと一人の隊員の二人です。
ところが、残った酸素ボンベは一人分だけ。
どちらが行くか・・・。すんなりとは決まりません。
お互いに「私が登る」と譲らなかったのではなくて、逆に二人とも「あなたが登って」と譲り合ったのです。
田部井さんは、リーダーとして隊員をサポートすることが務めだと思っていたので、自分が山頂に立つ気は初めからありません。
でも、もう一人の隊員は、身につけているお守りを田部井さんに手渡して、「リーダーのあなたなら、絶対に山頂に行けるから」と懇願。
そうして田部井さんはエベレスト山頂に送り出されたのです。
山頂から見下ろすと、みんなで毎日毎日地道に荷上げをして、テントを設営して登ってきた道筋がよく見えました。

田部井さんはそのときを振り返り、「世界で初めてエベレストを登頂したのは、チーム全員。
私はみんなより一歩だけ余計に歩いただけ」と、語っています。