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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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12/28「ロッカールームのスポーツマンシップ」

今年は北京オリンピックも開催され、たくさんのスポーツの感動に出会えた1年でした。
そしてどの競技でも、その裏には選手たちを支えるドラマがあります。

2002年のソルトレイクシティ冬期オリンピック。アメリカのフィギュア・スケート選手、サーシャ・コーエンは、競技用のタイツを紛失するという災難に見舞われました。
コーエン選手といえば、妖精のように美しいスパイラルで観客を魅了する、メダルの有力候補。
彼女は競技場の持ち物検査でカバンの中身を全部出し、大切なタイツをその場に置き忘れてしまったのです。

しかし、彼女がそのことに気が付いたのは、試合直前のロッカールーム。
タイツがなければ出場することができず、しかも新しいタイツを用意する時間は残されていません。
「どなたか、タイツを貸していただけませんか?」
必死で訴えますが、厳しい勝負の世界ですから、誰も彼女の訴えに耳を貸そうとはしません。

ところが、困っている彼女の姿を見て、ひとりの選手がわざわざ自分の履いていたタイツを脱いで差し出しました。
それは、日本代表として参加していた村主章枝(すぐりふみえ)選手でした。
競技の結果は、コーエン選手が4位で、村主選手は5位。
もしもタイツを貸していなければ、順位は変わっていたかもしれません。
コーエン選手は後にテレビに出演したとき、「あの重大な局面で村主選手がタイツを貸してくれたことは、スケートの演技以上に忘れられない出来事だった」と語りました。

村主選手のスポーツマンシップにあふれた行動は、金メダルよりも美しいエピソードとして、オリンピックの1ページに刻まれています。