12/14「コミュニティオーケストラ」
コミュニティオーケストラ。
これは、福岡市の精華女子短期大学が中心になって、周辺地域の人たちといっしょに、5年前に立ち上げた交響楽団です。
教育現場や市民によるオーケストラは各地にありますが、大学と地域社会がタイアップしたオーケストラは全国的にもほとんど例がありません。
この試みは、地域に根ざした開かれた大学づくりを目指したものです。
「他の大学でも、社会人でも、音楽を愛好する地域の方々、どなたでも参加してください」と声を掛けたことから始まりました。
しかし、コントラバスなどの大型楽器をそろえるには莫大な費用がかかります。
資金集めに頭を抱える日々が続きましたが、賛同してくれた地域の人との熱い思いが通じ、私立学校の特別補助が認められ、ついに念願の楽器が届きます。
団員集めは、補助金で作ったチラシをあちこちに置いてもらい、地元紙にも掲載をお願いするなど、自分たちでできることはすべてやり尽くしました。
そして半年後。初めての練習に集まったのは、小学生から50代まで、腕に覚えありの40人。さっそくパートごとの特訓が行われ、2時間後には全員で見事にブラームスのハンガリー舞曲第5番を演奏したそうです。
現在、団員は45人。うち大学生は3人で、あとは地域の人たちです。
その大半は若い頃に楽器に親しんだものの、社会人となって触れることが叶わなかった人たち。「再びオーケストラの楽しみを味わえるチャンスを与えられて幸せだ」と語っています。
また初心者でも気軽に参加できる講座も開講し、オーケストラの一員になることを目標に一生懸命練習を続ける主婦もいます。
来年は大学の創立100周年にあたり、記念演奏会が予定されています。
その演奏曲は、ベートーベンの「第九」。みんなで喜びを分かち合う歓喜の歌にふさわしい演奏が響き渡ることでしょう。
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