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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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11/9「おそろいの黄色い靴」

アメリカのルーク・ボルディア君・4歳は、生まれつき耳が聞こえません。
これは遺伝によるもので、彼の両親も聴覚障害を抱えています。
ところが最近はテクノロジーの進化によって、小さなマイクを組み込んだ電子送信機を利用して、音を感じることができるようになりました。
ルーク君もこの装置を使って、健常者と同じ幼稚園に通っています。

ただ、この装置は、どんな音でも大きく伝えるため、周りの園児たちが椅子や机をちょっとでも動かすとマイクがその音を全部拾ってしまい、先生の話す言葉が聞き分けられなくなってしまいます。
こうした事情を知った先生は、教室を静かにする方法を考えました。

大人ならともかく、幼稚園児となるといっときもじっとしていることはできません。
皆をおとなしくさせるよりも、むしろ椅子や机を動かしても音が出ない方法はないか・・。
そんな先生の頭に浮かんだのが、黄色いテニスボールです。
「テニスボールは、弾力がなくなったり雨に濡れたりすると、試合には使えなくなり、捨てられてしまう・・。
そのボールを椅子やテーブルの脚に付け、床との摩擦音を和らげるものとして使えるのではないだろうか?」
そこで、先生がこのアイデアを全米テニス協会に相談したところ、なんと400個以上もの使用済みテニスボールが快く送られてきたのです。
ルーク君のクラスでは、そのボールをくり抜いて、椅子と机の脚に被せました。
すると、まるで椅子と机が皆おそろいの可愛い黄色い靴を履いているような、楽しい教室が完成。
もちろん、テニスボールの優れた材質は、椅子や机をどんなに動かしても、その雑音を吸い取ってくれます。

先生の声がとてもよく聴こえるようになったルーク君。
今後は、彼のクラスだけでなく、幼稚園すべての椅子と机に黄色い靴を履かせるそうです。
一人の少年のために寄せられた善意のテニスボールが、幼稚園全体をハッピーな風景に変えていくことになったのです・・・。