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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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11/16「塀の外の農場」

ドイツ・バーデンヴュルテンベルグ州の小さな町。
この町のある農場では、新鮮な季節の野菜が、安い値段で売られています。
ここで働いているのは、青年刑務所に服役している若い囚人たち。
この農場は刑務所の更生施設で、さまざまな事情で罪を犯してしまった若者が野菜づくりをしています。

農場の周りには鉄条網があるわけでもなく、見張りもいなくて、誰でも自由に出入りできますが、囚人たちは農作業に一生懸命。
これまでに脱走騒ぎがあったことは一度もありません。
また、地元の人々も、刑務所の農場が町中にあることを忌まわしく思っているわけではなく、むしろ若者たちがこの農場での作業を通じて再び社会に巣立って欲しいと応援する気持ちが強いのです。
そばを通りかかった人は、畑仕事に精を出す若者に、にこやかに声をかけたりしています。

ただ、刑務所の予算の関係でこの農場では以前から肥料や農薬を買うことができない状態がずっと続いています。
ところが、ここの野菜はスーパーの野菜と違って有機栽培。
小さかったり不細工だったりしますが、野菜本来の味がして美味しいと評判なのです。
そして、囚人たちは農場で仕事をしながら町の人たちとの触れ合いの中でその評判を直接聞くことが出来ます。
自分たちのしていることが町の人たちに喜ばれているということが、彼らの社会復帰の大きな力になっています。

これから冬になると、野菜はなかなか育ちません。
その代わりに彼らがやるのは、小さなプラスチックの鉢に花の種を植える作業。
来年の春先になれば、この農場は、庭を飾ろうとこぞって花を買いに来る町の人たちでいっぱいになります・・・。