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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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9/21「パリ発・久留米絣 」

今日9月21日は、「ファッションショーの日」。
これは、1927年、銀座の三越呉服店で日本初のファッションショーが行われたことに由来しています。
ファッションショーといえば、流行の最先端といったイメージがありますが、来月パリで開催されるのは、200年の伝統をもつ久留米絣のファッションショーです。

久留米絣を世に生み出した創始者は、井上伝(でん)です。
1788年に久留米で誕生し、幼いころから縫い物が大好きだった伝は、偶然にも自分の着物の色がこすれ落ちて白い斑点模様になっていることを発見します。
彼女は「藍色の着物に初めからこんな模様が入っていたら美しいのに」と考え、何年も苦労を重ね、白い模様の入った着物を織り上げて、その着物を「かすり」と名付けました。
当時は庶民にとって、着物でおしゃれをすることは珍しい時代。
絣の着物は、たちまち評判になります。
伝はこの技法を、機織りで家計を助ける知人や友人に次々と紹介し、多くの人から感謝されました。
「みんながこんなに喜んでくれるのなら」と、彼女は次に絵模様を入れることを思いつきますが、技術的に難しくなかなか成功しません。
それでも彼女はあきらめず、後にからくり儀衛門と呼ばれる久留米の発明王・田中久重(ひさしげ)に相談。
田中は伝の熱意に心を打たれ、美しい絵模様を織り出す機械を作ってあげました。

こうして絣の着物は、久留米の産業を支える伝統工芸として、さらに発展しました。
伝が40歳の頃には1000人以上の弟子が久留米絣の技術を学んでいたそうです。
小さな発見から生まれ、そのアイデアを惜しみなく人々に教えることで受け継がれてきた久留米絣。
パリでのファッションショーを誰よりも楽しみにしているのは、天国にいる井上伝かもしれません。