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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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9/14「優先席」

熊本県の人吉盆地をのどかに走る「くま川鉄道」。
沿線にはいくつかの高校があり、朝夕の列車はその生徒たちでいっぱいになります。
ある日、その列車に一人のおばあちゃんが乗り込んできました。
車内は高校生でいっぱい。
座っていた一人の女生徒が声をかけ、席を立って、おばあちゃんを招きました。
その席は優先席ではありません。
たまたま乗り込んできたお年寄りに気づいたから声をかけたという感じです。
「ありがとう」とにっこり言って座るおばあちゃん。
その後、席を譲った女生徒はそのままおばあちゃんの前に立ち、きょうは試験日で早く下校したから昼間の列車が混んでいることをおばあちゃんに説明し始めました。
特に知り合いというわけでもないようです。
そのうち、座っているおばあちゃんを中心にして周りの高校生たちと話の輪ができ、なんだか盛り上がっている様子。
それが、ある日のくま川鉄道の列車の中の出来事です。

電車やバスにはお年寄りやハンディをもつ人などのために優先席があります。
当たり前のことだと思いがちですが、じつは、譲り合いや思いやりといった人間本来の気持ちから弱い立場の人を守るべきであって、座席を区切って優先席という枠をつくるのはおかしい、という意見もあります。
実際、すべての車両のすべてのシートが優先席だとみなし、優先席をなくしてしまった鉄道会社もあります。
また、そうしたところが「席を譲ってもらえなくなった」というクレームが相次ぎ、仕方なく再び優先席を設定した鉄道会社もあります。

しかし、くま川鉄道のような風景が、全国の電車やバスに広がって、全てのシートが優先席という考えを利用者が持つようになると理想的ですね。