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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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8/3「選手村の思い出」

1936年のベルリンオリンピック。
選手村の近くで、一人の日本人選手が子どもたちと遊んでいました。
彼の名は村社講平(むらこそこうへい)。
陸上長距離のアスリートですが、当時の日本人は欧米の選手とは体格面で大きく劣っていて、とてもメダルを狙える力はありませんでした。

選手村に暮らすうち、近所の子どもたちと仲良しになった村社選手は、レースの合間に、少年少女たちと散歩したり、カメラで一緒に記念撮影をしたりして過ごしていました。
そのリラックスしたひとときが功を奏したのか、レースに出場した彼は、1万メートル走も、続く5000メートル走も、スタートからずっと欧米の大柄な有力選手を後ろに従えるように、終始トップを切って走ったのです。
両レースともゴール間際で力尽き、メダルには届きませんでしたが、それでも競技場すべての人が「ムラコソ、ムラコソ!」と大声援。一躍、現地のヒーローになりました。

それから35年後の1971年。
村社さんのもとに、見知らぬ人から電話がありました。
その人がドイツのハンブルグにホームステイした時、ステイ先の主婦が子どもの頃に村社選手と一緒に写っている写真を持っていた、という話でした。
これが縁で、翌年のミュンヘンオリンピックの時、村社さんは、ハンブルクにその主婦を訪ねました。
ベルリンオリンピックの選手村の近所で一緒に過ごした子供の一人が、48歳の主婦になっていたのです。
彼女は、少女の頃の村社選手との思い出ゆえに、ドイツにやって来る日本人の世話をしているとのこと。
以後、二人は家族ぐるみで親戚同様のつきあいを始めました。

いよいよ今週末から始まる北京オリンピック。
その期間はわずか2週間ほどですが、ふとしたわずかなふれあいが、一生につながる、国を超えた思い出をつくることもあります。